1.去る4月中旬、シカゴ郊外在住のある邦人の方が、自動車運転中にスピード違反の疑いでアーリントンハイツ警察に停車を求められ、運転免許証の提示を求められました。この邦人の方は、未だイリノイ州の運転免許証を取得していなかったため、日本の運転免許証と当館発行の英文の「免許証所持証明」を提示しましたが、警察官はイリノイ州での滞在期間が1年を超えており、「非居住者」とは見なされないと主張し、結果として無免許運転で起訴される事態になりました(但しこの事例は、先般行われた裁判において警察側が出廷しなかったため却下となっています。)。
2.イリノイ州は、同州車両法(625ILCS
5/6-102(2))において、「「非居住者」は母国が発行する有効な免許証を携帯することにより運転することができる」と規定しています。また、「非居住者」の定義を巡っては、イリノイ州政府は昨年11月23日付で州議会に提出した覚え書きにおいて、「イリノイ州に暫定的に居住している者、すなわち、イリノイ州を恒久的な居住の地とする意思のない者は、(「非居住者」として)母国が発行する有効な免許証を携帯することにより運転することができる」との説明を行っています。
その一方で、イリノイ州車両法には、「非居住者」の運転に関連するものとして、「イリノイ州の「居住者」となった「非居住者」は、最初の90日間は母国が発行する有効な免許書を携帯して運転することができる。但し90日経過後は、イリノイ州の運転免許証を取得しなければならない。」との規定も存在しています(625ILCS
5/6-102(7))。
3.上記2.のように、イリノイ州の「非居住者」の運転に関する規定は入り組んだものとなっており、先般の邦人を巻き込んだ事案も、「非居住者」の定義を巡り、イリノイ州政府の考え方とアーリントンハイツ警察の認識に違いがあったことにより生じたものと見られます。更に、邦人を巻き込んだ今回の事例は却下となり、「非居住者」の定義に関し裁判所の判断は示されておりません。
4.つきましては、現に今回のような事例が発生していることに鑑み、イリノイ州での在住期間が長期に及ぶ方で、今年1月から導入された「一時訪問者用運転免許証」を含めイリノイ州の免許を取得できる方は、無用なトラブルを避けるためにも、イリノイ州の免許証を取得されることをお奨めします。なお、「一時訪問者用運転免許証」の発給手続きについては当館のホームページ(
http://www.chicago.us.emb-japan.go.jp/con_drlicense.html
)をご参照ください。
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