シカゴは全米有数の学術文化の街でもあります。市内及び郊外には82名のノーベル賞受賞者を誇るシカゴ大学をはじめ、ノースウェスタン大学等多数の有名大学が集まっています。
シカゴが誇る科学産業博物館、フィールド自然史博物館は全米で最も特色のある博物館であり、シカゴ美術館はニューヨークのメトロポリタン美術館及びボストン美術館と共に米国三大美術館の一つとされています。この美術館は日本の浮世絵や印象派のコレクションで知られていますが、特に寄贈者の遺言で門外不出となっているスーラの「グランドジャット島の休日」という点描画が有名です。印象派・
20世紀のアメリカコレクションは大変質の高いものです。
シカゴ交響楽団の奏でる音楽は世界的名声を得ており、またリリック・オペラはアメリカ3大オペラのひとつに数えられています。
シカゴは優れた建築物でも有名で、高層建築物が織り成す都市景観は言葉に出来ない程素晴らしく、シアーズ・タワーを始めとする数多くの高層建築が林立する摩天楼は、まさに近代都市美の極致です。また、ミシガン湖畔に展開する緑滴る公園や叙情豊かなヨットハーバー・水面に高層ビルを投影しつつ静かに市内を貫流するシカゴ川等の風景は旅行者の心に忘れがたい印象を与えるでしょう。
(1)シカゴの大学
シカゴには50以上のカレッジや大学がありますが、中でも最も有名なのは、82人ものノーベル賞受賞者を輩出しているシカゴ大学でしょう。シカゴ大学がはじめて博士号を授与したのは、日本人の浅田栄治さんでした。現在でもシカゴ大学のカレンダーには”Eiji
Asada received the first ph.D.”の記載があります。
1942年、シカゴ大学で物理学者のエンリコ・フェルミ教授が核エネルギーの連鎖反応実験に成功し、これが後の広島・長崎に落とされた原子爆弾となりました。キャンパス内には「原子力」と題するヘンリー・ムーアの彫刻が記念碑として残されています。なお最近では、シカゴ大学病院はテレビドラマ「ER」の舞台ともなりました。
1855年に設立されたノースウェスタン大学は、ビジネス、ジャーナリズム、法律及び医学部で全米でもトップクラスです。ここのジャーナリズム学科は著名なコラムニストや記者を輩出しています。ロヨラ大学はシカゴで最も古い大学でイエズス会系の大学としては北米最大です。
また、2008年にはエンリコ・フェルミ研究所の南部陽一郎名誉教授がノーベル物理学賞を受賞しました。
(2)シカゴの音楽
シカゴと言えば、シカゴ・ブルースとジャズ。「ブルースならシカゴ」と言われる程、シカゴはブルースの本場として不動の地位を築いています。ジャズを語る上でもシカゴは欠かせない都市です。
もともとアメリカ南部で生まれたブルースをシカゴに持ち込んだのは、第二次大戦前後に職を求めて南部から移住してきたアフリカ系アメリカ人でした。マディやハウリンをはじめ、ウィリー・ディクソンやリトル・ウォルターなどによって作り上げられたシカゴ・ブルースは、
50年代から60年代にかけて大きく花開きました。ローリング・ストーンズやベニー・グッドマンなどの偉大なジャズマンを輩出してきたジャズの街でもあります。かたや、スマッシング・パンプキンズなどが巣立ったロックの土壌もある他、ゴスペル・レゲエ・ラテン・アフリカンなど民族色豊かな音楽も盛んに行われている音楽のるつぼです。
世界的な成功を収めたブルースマン、バディ・ガイがレッド・ホット・チリ・ペッパーズと競演したり、オーティス・ラッシュがパール・ジャムの前座で出演するなど、異なるジャンルの音楽でさえも密接に結びついているのがシカゴのミュージック・シーンの特徴といえるでしょう。
(3)シカゴの有名な建築物
関東大震災で崩壊しなかったと言われる有名な帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトもシカゴで建築をはじめました。彼の家とスタジオは今でもシカゴ市の近くに残っています。ライト建築の特徴は、どっしりとした安定感を保つデザインで、自然との調和を重視するプレーリー(大草原)スタイルです。クリントン大統領が訪日した際、当時の宮沢喜一総理に個人的な土産物として持参したのもライトがデザインした花瓶でした。プレーリー様式の真髄で、住居用の建築では最高傑作とライト自身も語る世界的に有名な家屋「ロビー邸」は現在シカゴ大学が所有しており、キャンパス内で見ることができます。
また、日本の建築家黒川紀章氏の設計したアスレチック・クラブ、イリノイ・センターもダウンタウンにあります。
(4)シカゴの野外アート
シカゴの街は野外展示場と言われる程、一流の作家や地元のアーティストによる彫刻が見られます。というのも、建物の総工費の0.5%を公共の環境設備に費やさなければならないという規則がある為。そのおかげで建物のロビーや広場で有名な彫刻や絵画に出会うことができます。
アーティスト |
彫刻 |
場所 |
年代 |
ピカソ |
シカゴ |
デイリー・プラザ |
1967年 |
シャガール |
モザイク |
ファースト・ナショナル銀行 |
1974年 |
デュビュッフェ |
起立した野獣へのモニュメント |
トンプソン・センター |
1984年 |
カルダー |
フラミンゴ |
シアーズ・タワー |
1974年 |
ミロ |
シカゴ |
ピカソの彫刻の横 |
1967年 |
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